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「自衛隊の運用に関する事柄であり、お答えは差し控える」。海上自衛隊の護衛艦が台湾海峡を通過した際、日本政府は決まってこう繰り返してきた。今年4月17日には、海自護衛艦「いかづち」が台湾海峡を航行した。岸田文雄政権下で始まった海自護衛艦の台湾海峡通過は4回目となる。だが、日本政府はこれまで一度も公式には通過を認めていない。中国側が先に発表し、日本政府は追認も否定もしない奇妙な構図が続く。
台湾海峡を巡る緊張は急速に高まっている。中国軍は近年、台湾周辺で大規模な演習を常態化させている。2025年4月には、中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区が海上封鎖を念頭に置いた演習を実施した。
こうした中、米軍は「航行の自由」作戦として定期的に台湾海峡を通過し、英国やフランス、オーストラリア、ニュージーランドなども艦艇通過を事後的でも公表してきた。中国による力による現状変更は認めないという政治的意思を示す狙いがある。
一方、日本は通過を公表していない。外務省幹部は「大々的に喧伝(けんでん)しても中国を刺激するだけだ。プロ対プロの世界なのだから、こちらのメッセージが伝わっていればいい」と説明する。中国側は艦艇通過を監視しており、航行の自由確保に関与するという日本側の「意志」が伝わっているのだから、公表する必要はないというわけだ。
だが、こうした「語らぬ抑止」はむしろ中国側に有利に働く恐れがある。公式な立場を明らかにしないことで、日本が台湾海峡の安定に積極的に関与していないとの印象を与え、中国による現状変更を黙認していると受け取られるリスクをはらむ。政府は透明性を高め、同盟国との協調を明確に示すべきだ。