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「あの出来事がチームに影響を与えたとは思わない」。ラウンド16でベルギーに1-4で敗れ、ワールドカップを後にしたアメリカ代表の選手たちは、試合前に起きた異例の裁定を巡る騒動について口を揃えてそう語った。国際サッカー連盟(FIFA)が下した“出場停止処分の執行猶予”という前代未聞の判断は、試合後もなお波紋を広げている。
騒動の発端は、ラウンド32でFWフォラリン・バログンが受けたレッドカードに対する処分だ。通常ならば次の試合は出場停止となるが、FIFAはこれを1年間の執行猶予とする異例の裁定を下した。これにベルギーサッカー連盟や欧州サッカー連盟(UEFA)が声明で異議を唱える事態となったが、決定は覆らず、バログンは先発出場。しかし、チーム最低評価のパフォーマンスに終始し、敗戦の一因となった。
試合後、指揮官マウリシオ・ポチェッティーノ監督は「我々のパフォーマンスには影響を与えなかった。言い訳にはならない」と断言。続けて「今日は我々の日ではなかった。本来の力を発揮できなかった。バログンを巡る状況は確かにあったが、チーム全体に影響するものではなかった」と強調した。
MFタイラー・アダムスも監督の見解に理解を示す。「あの出来事が起きた時、我々もみんなと同じくらい驚いた。しかし、騒音や周囲の出来事が影響を与えたとは全く思わない。むしろ、ある意味では奮い立たせてくれたかもしれない」と振り返る。厳しい言葉がかえってチームを結束させたという主張だ。
チームキャプテンのDFティム・リームは、ドナルド・トランプ大統領や政府関係者が介入したという報道についても「何の影響もなかった。外部の雑音だ。このチームは雑音を雑音として扱う術を身につけてきた。選手として試合に備えることとは関係がない」と一蹴。「グループとして、試合に完全に集中していた。外の世界で何が言われていようが、全く関係なかった」と、選手たちのメンタルの強さを強調した。
今回の裁定を巡っては、FIFA会長への電話介入を認めたトランプ大統領の存在や、ベルギー側がスポーツ仲裁裁判所(CAS)への提訴を検討するなど、政治・スポーツ両面で後味の悪さを残している。だが、アメリカ代表の面々はあくまで“ピッチ上の結果”に焦点を当て、敗戦を受け入れた。開催国3カ国全てがラウンド16で姿を消すという、大会史上初の屈辱的な結果にも関わらず、彼らの口調には外部要因への言い訳は一切なかった。