t>

日本の洋上風力発電事業の苦境が続いている。昨年8月、三菱商事などが秋田県沖など3海域の事業から撤退したのに続き、新たに、山形県遊佐町沖の事業から英石油大手BPが撤退を検討していることが判明した。中東情勢を通じ、再生可能エネルギーは脱炭素だけでなく、安全保障上の重要性も再認識されているが、事業を推進する上でコスト高が逆風となって吹き付ける。
山形県沖は、国が洋上風力の開発を促す「促進区域」の一つ。2024年に実施された大規模入札「第3ラウンド」を経て、BPのほか、丸紅、関西電力、東京ガス、建設会社の丸高(山形県)の企業連合に決まっていた。発電容量は45万キロワットで、30年6月の運転開始を目指す内容だ。
丸紅の広報担当者はBPの撤退検討に関し、「現時点で決まった事実はない」としている。
洋上風力を巡っては、鋼材など高騰する資材費をどうまかなうかが課題になっている。秋田県沖の事業から撤退した三菱商事などは、入札当時こそ圧倒的に安い売電価格で落札したものの、その後建設費が上昇し、採算が合わなくなった経緯がある。
こうした中、国は今年6月、入札基準を改め、事業のスピードより実現性を重視するなど、採点方法を厳格化した。また、残る6海域については、事業の予見性確保のための支援を予定。建設費などを原則20年間支援する仕組みの適用が議論されている。発電開始後、電力卸売市場などで得られた収益の9割を国に返納するルールで、支援額と費用のバランスが重要だ。BPが撤退すれば日本の再エネ政策にマイナスとなり、さらなる対策が求められる可能性がある。(織田淳嗣)