
入札の便宜を図った見返りに受注業者から金品を受け取ったとして、日本郵便の元社員が20日に逮捕された。日本郵便では近年、不適切点呼問題など不祥事が相次いでおり、平成19年の郵政民営化から来年で20年を迎える。有識者は公共性の高い郵便事業を担う法人として、ガバナンスの再構築が急務だと指摘している。
令和6年9月、日本郵便は顧客の同意を得ずにゆうちょ銀行の口座残高などの情報を、かんぽ生命保険の営業に不正流用していたことを公表した。流用された情報は延べ約1000万人分に上る大規模なもので、顧客の信頼を大きく損ねる事態となった。
翌令和7年には配達現場の問題が表面化した。全国2391カ所の郵便局で配達員に対する酒気帯び確認の不適切点呼が発覚し、トラックやバン約2500台の貨物運送事業の許可が取り消される事態にまで発展した。現場の管理体制の甘さが露呈した形だ。
今年に入ってからも複数の郵便局で、顧客の口座から現金を盗んだり横領したりする不祥事が相次いで明るみに出ている。内部統制の不全が繰り返し指摘されながら、改善が追いついていない実情が浮かび上がる。
こうした不祥事の連鎖を受け、専門家は「郵便事業の公共性を考えれば、組織全体の倫理意識と監視機能を抜本的に見直す必要がある」と警鐘を鳴らす。民営化20年の節目を前に、日本郵便の信頼回復に向けた取り組みが問われている。