
5月9日の対独戦勝記念日に行われるロシアの軍事パレードが、今年は大幅に縮小される可能性が浮上している。恒例の予行演習をまだ実施していないためで、ウクライナ軍によるミサイル攻撃への警戒が背景にあるとの指摘が出ている。ロシアの威信を誇示してきた行事だけに、大幅縮小となればプーチン政権の威信に傷がつく恐れもある。
ペスコフ大統領報道官は28日、2週間後に迫った軍事パレードについて問われ、「もちろん開催される。形式は適切な時期に伝える」と述べ、明確な回答を避けた。この公式コメントからは、計画の変更や縮小の可能性をうかがわせる慎重な姿勢がうかがえる。
例年4月下旬に始まる複数回の予行演習はまだ行われておらず、最後の演習が5月7日だと発表されただけだ。ロシア独立系メディアは専門家の話として、戦車などの兵器が登場せず、兵士の行進だけになる可能性を伝えている。これまで大規模な軍事力を誇示してきたパレードが、大幅に簡素化される見通しとなっている。
縮小の理由として指摘されるのが、ロシアの全面侵攻を受けるウクライナの長距離攻撃力の向上だ。今年2月、ウクライナは新型巡航ミサイルで前線から約1400キロ離れたロシア中部のミサイル工場を攻撃したと発表した。4月には、さらに遠いロシア第4の都市エカテリンブルクを、初めてドローン(無人機)で攻撃している。
こうした攻撃能力の向上により、モスクワ中心部で行われるパレードも標的となるリスクが高まっている。専門家は、プーチン政権が安全面を最優先し、派手な兵器展示を避ける判断を下した可能性を指摘する。もし縮小が実現すれば、ロシアの軍事力を国内外に示す重要な機会が失われることになる。
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