従業員5人で12カ国と取引 真岐興業、シーケンサー回路図のデジタル化で海外展開

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Kenji Watanabe
IT - 30 Apr 2026

世界でも高い技術力を持つことで知られる日本企業。ニッチ分野で目立たないものの、高い技術や世界シェアを持つ企業は少なくない。ドイツの経営思想家のハーマン・サイモン氏はこうした企業を「隠れたチャンピオン」と定義し、経済産業省も「グローバルニッチトップ企業」として支援している。

グローバルニッチは高い技術力を持つ一方で、知名度が実力に比べて劣り、ITを駆使して海外でのブランディングや販売に生かしていることも多い。この連載では、こうした企業のIT戦略をインタビューで深堀りする。

第12回はダイカスト(金型に溶かした金属を注入し、短時間で成型する鋳造技術や製品)向け周辺設備の設計・製造を手掛ける真岐興業(東京都品川区)を取り上げる。同社は生産設備に指示を出す「シーケンサー」という装置の回路データを世界12カ国の顧客とやり取りし、メンテナンスを効率化。5人という少ない従業員でも海外ビジネスに取り組んでいる。

同社の山本雅郎社長は「海外進出はもはやITがなければ成り立たない」と強調する。聞き手は、海外進出する中小企業のブランディング支援などを手掛けるZenkenの本村丹努琉(もとむら・たつる)。

──真岐興業はダイカストメーカーなどが使う「離型剤自動希釈圧送装置」の製造・販売を手掛けています。非常にニッチな分野ですが、会社の概要を教えて下さい

山本雅郎社長(以下、山本社長):当社は1966年に東京都品川区で創業しました。創業当時はダイカストメーカーの製品のメンテナンスやフォローアップなどをする会社でした。ダイカストは、アルミニウムなど非鉄金属を高圧で金型に押し込み、高精度で表面のきれいな鋳物を大量生産する方法やその製品のことです。

顧客が増えてくると、メンテナンスだけでなく、「こんな材料を持ってきてほしい」などといった要望を受けるようになりました。ある時、付き合いのある商社から、成型品が金型からはがれやすくする「離型剤」の原液を水で希釈する装置をつくってほしいとの要望を受けました。

当時は離型剤の原液を人力で希釈した液体をタンクに貯蔵していたため、タンクから液体がなくなると金型の製造機械を数分間も止めなくてはなりませんでした。これを機械で自動的に希釈することにより、タンクに常に希釈した離型剤がたまっている状態をつくってほしいという要望でした。当時、そんな装置を作る会社はなく、自社で製造することにしました。これが「離型剤自動希釈圧送装置」で、今も当社の主力製品となっています。顧客の大半は自動車や自動車部品メーカーです。

山本社長:当社は中小企業なので多くの在庫を持ったり、大量生産をしたりすることはできません。それだけに1社1社の要望に対し、受注を受けてから生産する形をとっています。まずは訪問して現状分析やコンサルティングをし、必要な機能を持つ製品を製造します。納品後も丁寧なメンテナンスや要望に合わせた対応を心がけています。技術面はもちろん「装置の色を当社のコーポレートカラーに合わせてほしい」といった要望にも対応できます。

技術的には、モーターを使った給水ポンプではなく、コンプレッサー(空気圧縮装置)でつくったエアーの圧力によって水を給水しますので離型剤に熱を移して変質させることがありません。当社の装置はセンサーとデジタルカウンターを搭載しており、顧客の要望に応じた正確な比率で安定的に希釈することができます。希釈率の正確性を欠くと、ダイカストの生産の歩留まりが悪くなったり、色がついてしまったりします。

山本社長:95年にタイに進出している日本の商社から、当社の離型剤自動希釈圧送装置を日本の自動車メーカーが使いたいという要望を聞きました。当社は現地法人がないので、商社経由で販売したのがきっかけです。現在では中国、フィリピン、タイ、ベトナム、インド、インドネシア、マレーシア、ブラジルなど世界12カ国に輸出しています。

──12カ国の顧客企業とやり取りする中でITは活用していますか

山本社長:海外ビジネスはITがなければ成り立ちません。当社で最もITを活用しているのは「シーケンサー」の回路図のやり取りです。シーケンサーとは、あらかじめ記述した手順(シーケンス)に従って信号やデータ、機器の動作を時間順に指示・実行する装置のことです。この装置は例えば、「満水になったら給水を止めろ」「こんな状態になったらブザーを鳴らして注意喚起しろ」といった指示をするわけです。これがなければ、当社の希釈装置は動きません。

かつては、海外の顧客企業から修繕の依頼や改善の要望があった場合、まずは電話で話を聞いて、現地に出向いて対応していました。しかし、海外人材もいないことから、国際電話をして現地語でやり取りするのは至難の業でした。

そのため技術者が回路図などをドラフター(製図機)で手書きし、それを海外と郵送でやり取りしていました。国際郵便ですから、相手に図面が到着するまでに何日もかかり、コミュニケーションがうまくとれません。このため私や技術に詳しい社員が海外出張して対応していましたが、中小企業で1〜2人が海外に出張していれば、日本国内の仕事を進めることができません。従業員が5人しかいない当社はなおさらです。

その後はファクスになりましたが、コミュニケーションには限界がありました。こうした制約から、当社が海外の事業を拡大するのは難しいのが現実でした。

しかし現在は、シーケンサーの回路図をソフトウェアによってデジタル化し、そこに回路の修正などの要望を互いに書き込めるようにしています。このデータを電子メールに添付して顧客企業とやり取りするわけです。こうした技術進歩により、当社の社員が海外出張しなくてもメンテナンスや装置の改善ができるようになりました。スマートフォンで互いの動画を見ながら電話でやり取りできるのも大きな進歩です。

山本社長:進出した95年ごろは円高・ドル安(1ドル100円前後)が進んでいました。国内の自動車メーカーは人件費などコストの安い東南アジアなど海外の生産拠点を拡大していき、それに伴って多くの部品メーカーや下請け業者も海外に進出しました。

こうした流れを受けて、「このままでは国内生産が減っていく」という危機感がありました。一方で当社が海外への輸入を拡大すれば業績を拡大できるとも考えました。

足元では円安・ドル高が進んでいますが、今後も海外需要は拡大するでしょう。例えばインドやアフリカに進出したり、生産を拡大する自動車メーカーなどへの製品の供給を増やしたりすることができると考えています。

山本社長:海外進出でのリスクの1つはコピー商品です。1台輸出すると、中国や東南アジアで100台のコピー商品が半額ほどの値段で出回ってしまうことがあります。ひどい時にはそのコピー商品が日本に逆輸入されるケースもあります。このため、当社は製品のコピーができないように部品の形状を工夫したり、材料にコストをかけたりして製品の精度も向上させています。

──日本の商社から海外での製品供給を依頼されたとのことでしたが、そうした誘いを受ける企業は限られるように思います。海外進出のパートナーとして選ばれるコツのようなものはありますか

山本社長:これまで人と人、企業と企業が築いてきた繋がりや信頼関係しかないように思います。当社が積み重ねてきた品質管理、メンテナンスを信頼してくれたことが、信頼の獲得につながったのだと考えています。

通信機器販売やエネルギーコンサルティングなどのベンチャー企業3社で営業責任者として組織構築に従事。1人のカリスマだけに頼らない組織営業スタイルを確立し、収益増に貢献した。2009年に全研本社株式会社(現:Zenken株式会社)に入社し、ウェブマーケティングを担当する「バリューイノベーション事業部」(現:グローバルニッチトップ事業本部)の立ち上げに参画。コンテンツマーケティング黎明期から、オウンドメディアを基軸とした WEBブランディングを提唱し、14年間で約8000社のインサイドセールスを構築した。

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編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、ITmedia NEWSの記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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