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「優秀な管理職」と聞くと、どのような人を思い浮かべるだろうか。早く正確な判断ができる人、メンバーの状況をよく見ている人、的確な指示を出せる人――。多くの場合、こうした要素が思い浮かぶ。
ところが、AIによってその評価基準そのものが揺らぎ始めている。
そもそも、AIを活用しているものの、管理職から「仕事が楽になった」という声はあまり聞かれない。コンサルティング会社のEY(アーンスト・アンド・ヤング)が世界1万5000人を対象に行った調査では、従業員の64%が「仕事量が増えた」と感じているという。また、人事管理や財務管理のクラウド型ERPを展開するWorkdayが実施したグローバル調査では、AIで節約された時間の約4割が、AIの生成物の確認・修正に再投入されているという結果が出ている。
「AIに作らせても、自分が手直ししないと出せない」「メンバーがAIを使って制作した成果物を、結局自分でチェックしなくてはならない」「AIで効率化したはずなのに、自分の実際の作業時間は減っていない」。これらは多くの管理職から聞こえてくる声だが、なぜこのようなことが起きているのか。
その答えの一つが、管理職に求められる「判断のルールブックの言語化」にある。AIが普及するほど、人間が判断基準を明確に定義し、AIに落とし込む作業が不可欠になる。従来の管理職の仕事のうち、ルーティン判断や情報伝達はAIに代替される一方で、曖昧な状況での価値判断やルールの言語化こそが、人間に残された核心的役割となる。