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これは実際に編集部員が体験した話だ。中央高速道路から都内を目指して走行中、八王子料金所でいつも通りETCレーンを通過しようとしたところ、ETCカードが突然磁気不良となりゲート通過が不可になった。料金所脇の事務所へ誘導され、カード引き落とし払いの手続きをしたが、その際はETC料金が適用された。
当然、カード不良は確かだったため、次の永福町料金所では後続車に迷惑をかけたくないと考えてETCレーンではなく一般レーンに進入した。係員に「車載器もETCカードもあるが、カードが磁気不良らしい」と伝えると、「ETCカードが使えない以上、一般料金の支払いを要求する」と返された。しかも時期的にオリンピック・パラリンピック料金まで課せられ、二重に損した気分だったという。
ETCカードは持っていたのだからせめてETC料金は適用されないのかと問うと、「せめてETCレーンに入ってくれていれば適用できたが、一般レーンでは駄目です」と返された。後続車に迷惑をかけたくないために一般レーンに入ったのに、これでは正直者が馬鹿を見るのと同じだ。
走行移動中に起きたETCカードの不良は本来ドライバーに非はない。しかし、原因不明ながら不良が起きていた以上、ゲートが上がらないだろうと分かっていてETCレーンに進入するのは気が引ける。渋滞や混乱の原因、あるいは後続車に追突されるリスクもある。
ではどうするのが正解だったのか。それぞれの管理会社である首都高速道路株式会社と中日本高速道路株式会社に訊いた。永福町と八王子は管轄が異なるためだ。
まず首都高お客様センターに問い合わせたところ、「ETCレーンに進むべきだ」という根拠は、八王子料金所で作動しなくても同社管轄内の永福町では作動するかもしれないという点にある。原因が特定できない以上、係員を呼び出してほしいとのことだった。
だが、係員のいないETCレーンに進入すれば渋滞や追突事故を誘発するのではないかと問うた。すると「ETCゲートは20km/h以下で通過するよう定められており、前走車がそれを守る限り正当である。万が一バーが閉まったまま通過しても、車にダメージはない構造だ」と回答。一般レーンでは非ETC適用が決まってしまうため、ETCカードが効かなくても料金適用の目を潰さないためには、一般・ETCの混合レーンに進入するのが次善の方法だと説明された。
一方、NEXCO中日本に同じ質問をしたところ、「ETCカード料金が適用されるには、入口と出口のいずれか一方でも料金ゲートとの通信が正しく行われていることが条件だ」と回答。今回のケースでは入口では正常に通信できていたため、八王子料金所では不良でもETC料金適用に問題はなかったという。逆に永福町では首都高管轄の入口でETCカード認識が行われなかったため、一般料金を適用せざるを得なかったというロジックだ。
ほとんどカフカの小説のような不条理だが、首都高お客様センターの回答によれば、ETC通信を試した上で作動不良が起きたなら、ETCカード現物を係員がその場で確認できれば、ETC料金適用でクレジットカード払いにする手続きは行えるという。
普段から管理会社ごとの管轄を意識しているドライバーは少ないし、知らない土地ではなおさらだ。ETC不良の自己防衛策として、迷ったら一般/ETC混合レーンへ進入することを覚えておくといい。消去法の最後に思いつく選択肢かもしれないが、通行料金の収受というサービスが人の手で成り立っているエッセンシャルなものであることを意識すれば合点がいく。ゲート通過の速度も、何となく下がるのではないだろうか。