
鉄鋼大手のJFEホールディングスは8日の決算記者会見で、中東情勢の混乱が長期化した場合、1カ月当たり約100億円のコスト増になるとの試算を明らかにした。主な要因は、鉄鉱石を運搬する船舶の燃料費上昇や、石油由来の塗料などの調達費増加だ。
同社は原材料費や調達費の上昇を製品価格に転嫁する方針を急いでいる。田中利弘副社長は会見で「価格転嫁を完遂しなければ収益性が低いままとなる」と述べ、採算改善に向けた強い決意を示した。
同日公表した2027年3月期の連結業績予想では、純利益が前期比約2.1倍の1500億円になると見込んだ。ただし、中東情勢が業績に与える影響については「予測が困難」として、業績予想には織り込んでいない。
一方、26年3月期の連結決算は、純利益が前期比23.6%減の701億円にとどまった。中国メーカーの過剰生産による鋼材市況の低迷が、業績の下押し要因として続いている。
JFEは今後も中東情勢の動向を注視しながら、コスト増への対応を進める方針だ。市況改善の見通しが立たない中、価格転嫁の成否が収益回復の鍵を握るとみられる。