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フォルクスワーゲングループは、電気自動車(EV)のバッテリーから電力網へ電力を送り返す「ビークル・トゥ・グリッド(V2G)」技術を、複数ブランドにまたがる形でドイツ市場に投入すると発表した。この取り組みは、VWグループの電動化戦略の一環として、MEBプラットフォーム搭載車を中心に展開される。
V2G技術は、車載バッテリーに蓄えた電力を電力網に戻す仕組みである。EVは充電・蓄電するだけでなく、特定の時間帯に電力を系統へ供給できるようになる。ユーザーにとっては収入を得たりエネルギーコストを削減したりする機会が生まれ、多くの車両・充電ポイント・料金プランをインテリジェントに制御することで、電力システムに柔軟性をもたらすことが期待されている。
サービス展開の基盤となるのは、すでに欧州の路上を走るMEBプラットフォーム搭載車約100万台(うちドイツ国内は約36万台)である。これらの車両は、すでに双方向充電に技術的に対応しており、複数ブランド・モデル・市場への段階的な拡大を可能にする。
サービス開始時の対象は、ドイツ国内のフォルクスワーゲン、フォルクスワーゲン商用車、クプラの顧客である。技術・規制・製品面の要件が整い次第、フランスや英国など他のグループブランド・市場への拡大も予定している。
パッケージ内容は、対応EVと直流(DC)双方向充電器「エリ・バイディ・チャージャー」、新料金プラン「フォルクスワーゲン・ナトゥアシュトローム V2G フロー」、制御アプリ「エリ・バイディ・アプリ」、そしてバックグラウンドでのエネルギー最適化で構成される。
対象車両は、バッテリー容量77kWh以上のIDソフトウェア3.5搭載モデル、およびIDソフトウェア6搭載の全IDモデルを予定している。既存の大規模な車両フリートと、MEBプラットフォームを基盤とする将来の量産モデルの両方をカバーする。
システムの使い方はシンプルである。ユーザーは対応するエリ・バイディ・チャージャーに車両を接続し、アプリで「次に車が必要な時刻」と「最低充電残量」を設定するだけである。残りの接続時間はエネルギー用途に活用される。現在の計画では、初年度の契約で最大720ユーロの接続ボーナスが得られる見込みである。
グループ傘下のエネルギーブランド「エリ」は、エネルギー統合・アプリ制御・料金ロジック・バックグラウンド最適化・バッテリー容量の集約・柔軟性のマーケティングを一括して担う。
V2Gの市場展開にあたり、エリはテクノロジーサービスプロバイダーである「ザ・モビリティ・ハウス・エナジー」の技術も一部活用する。同社の「フレックスエンジン」プラットフォームはバッテリー容量を集約し、双方向充電器を提供する機能を持つ。
再生可能エネルギーの拡大は電力システムへの要求を根本的に変えており、柔軟な蓄電ニーズが高まっている。フラウンホーファーISIおよびフラウンホーファーISEがトランスポート&エンバイロンメント向けに実施した調査によると、双方向充電により2040年までに欧州の電力システムコストが年間最大220億ユーロ削減でき、2030年から2040年の累計では約1750億ユーロの削減効果が見込まれる。
また、2024年にドイツ国内だけで約9374GWhの再生可能エネルギーが出力抑制されており、この電力量は約300万台のバッテリーEVを1年間走らせるのに十分な量である。
パワー2ドライブの開幕に合わせ、エリのウェブサイトでV2Gサービスへの事前登録受付が始まった。登録は次のステップへの非拘束的な関心表明となる。DCの双方向充電器の注文とフォルクスワーゲン・ナトゥアシュトローム V2G フロー料金プランの契約は、2026年末ごろの開始を予定している。