
遅れているリニア中央新幹線の整備が今夏にも大きな節目を迎える。JR東海が先行開業を目指す東京・品川-名古屋間で、静岡県が認めていない静岡工区の着工が容認される見通しとなった。県が懸念していた環境問題を巡る協議が3月に決着し、両者の8年半以上にわたる〝対立〟に終止符が打たれたためだ。
県が徹底抗戦の姿勢を貫いていた時期に本問題を取材した者としては感慨深い-と素直に思いたいところだが、地元メディアが最近報じたある人物の発言に憤りを感じた。
県トップとして着工反対を主導した川勝平太前知事その人だ。舌禍問題で2024年に辞職後、初めてリニア問題に言及したという川勝氏。県とJR東海の協議終了について問われ、「終わっていませんよね。(中略)政治的判断の前に倫理的な判断というものがきっちりと共有されていないといけない」と答えた。
この発言は、これまでの交渉経過を無視したゴールポストずらしにほかならず、記者は強い違和感を覚えた。協議が法的にも実務的にも決着した現状を認識せず、責任ある立場だった者が今さら倫理を盾に疑問を投げかける姿勢は無責任だ。
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