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アサヒグループホールディングス(HD)が7月8日に発表した2025年12月期連結決算は、純利益が前期比36.7%減の1215億円と大幅に落ち込んだ。25年9月に発生したサイバー攻撃の影響が約400億円の減益要因となり、厳しい結果となった。26年12月期は新商品投入や広告・店頭販売促進を積極化し、反転攻勢に打って出る。売上高にあたる売上収益は創業以来初の3兆円突破を目指す。
アサヒHDは身代金要求型ウイルス「ランサムウェア」攻撃を受け、システム障害が発生。従業員や取引先を含む11万件超の個人情報漏洩が確認された。
データ保護のため、障害発生後にシステムを遮断した結果、ビールや食品の出荷が一時的に停止し、多くの工場で生産も停止した。システム復旧には約2カ月、商品供給の正常化には半年近くを要した。
商品供給の停滞に加え、広告キャンセルに伴う損失やシステム復旧の人件費など、幅広い段階で影響が生じた。25年12月期の売上収益は1.5%減の2兆8946億円。通期決算発表も例年の2月から約5カ月遅れた。
8日、東京都内で記者会見した勝木敦志社長は「大変厳しい結果だったが、利益の減少は社員や取引先、お客さまに支えられて最小限にとどめられたのでないか」と述べた。
サイバー攻撃対応を巡る経営責任を明確化するため、勝木氏と担当役員3人の計4人が月額報酬の20%を3カ月間返納する。再発防止策として、外部専門家も交えた新設の情報セキュリティー委員会を中心に取り組みを継続・強化。勝木氏は「サイバーセキュリティーの改善、強化に努めるのは責務だ」と強調した。
26年12月期の連結決算は、売上収益が11.2%増の3兆2200億円、純利益が59.6%増の1940億円と、ともに過去最高を見込む。高級路線商品の追加や値上げ効果、欧州などの市況回復が寄与する見通しだ。
アサヒHDは4月以降に全商品の出荷を再開し、広告や店頭販促を増やすなど巻き返しを進める。サイバー攻撃からの復旧期間中に自粛していた広告費などは26年1〜6月期に60億円積み増した。
また、今年10月の酒税改正に伴うビール類の税率一本化を見据え、主力商品「スーパードライ」を全面刷新。発泡酒や第3のビールから税率が下がる狭義のビールへの回帰に対応する。勝木氏は「システム障害からの復旧・復興を着実にして、中長期の企業価値向上も目指す」と意気込みを語った。(永田岳彦)