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中古車販売店に勤める新人・槇島ユズ。名車を愛でるだけのつもりが、熱烈なオタクトークで図らずも成約を連発している。「売りたくない」と願うユズの悲鳴とは裏腹に、今日もまた一台、愛する名車が店を去っていく。そんなユズの前に、スバルWRX S4を「CVTじゃ峠道は面白くないでしょ?」と疑いの目で見る客が現れた。
客はMT派を自認し、無段変速機(CVT)を「峠道では退屈だ」と決めつけていた。しかしユズは、WRX S4のCVTがただの便利な自動変速ではないことを知っている。試乗コースに入る前に、ユズはこのクルマが持つ制御の特徴を丁寧に説明し始めた。
WRX S4に積まれるリニアトロニックCVTは、スバルが熟成を重ねたユニットだ。アクセル操作に応じて変速比を連続的に変えるだけでなく、スポーツ走行では「賢すぎる制御」と評されるロジックが働く。コーナー手前でのシフトダウンや、立ち上がりでの高回転維持といった挙動は、エンジンのトルク特性と見事に整合している。
さらに「8速マニュアルモード」を選べば、パドルシフトで任意のギア段を固定できる。実際に峠道を走ると、CVTでありながらエンジンブレーキの効きも含めてMT車のような感覚でコーナーへ進入できるのだ。客は「これならMTの楽しさを知る人にも納得できる」と表情を変え、疑いの目は一変した。
試乗を終えた客は成約を決意し、ユズはまた一台、WRX S4を送り出すことになった。「売りたくない」とつぶやきながらも、その瞳は愛車の門出を祝福しているようだった。セダンを愛してやまない漫画家朝戸さんは、こうした一台との出会いこそが、クルマ趣味の醍醐味だと語る。