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人気のプレミアムコンパクト「MINI」に、特別なデザインが魅力の「ポール・スミスエディション」が登場した。著名なファッションブランドがコーディネートしたMINIは、クルマに詳しくない人も、ブランドに詳しくない人も魅了する、説得力のある装いの一台だ。
筆者は、いわゆる「ブランド」にまったく疎い。興味も知識もゼロに近く、ポール・スミスというブランドも知らなかった。「MINIのポール・スミスエディション」と聞いても、何のことかさっぱり分からなかった。
編集部の担当ほった氏との会話はこうだ。オレ「ポール・スミスってブランドなの?」。担当ほった「そうですよ」。オレ「なにつくってるの?」。担当ほった「いろいろです」。
担当ほった君もファッションブランドに詳しいとは思えないタイプだった。そんな二人だが、実車を見て、ブランド力とは無関係に「うわ、ステキだな」と思った。何がステキだったかというと、白とグリーンのボディーカラーだ。
ボディーカラーなんて枝葉末節、という意見もあるかもしれない。だがクルマに詳しくない妙齢の女子は、ボディーカラーに最大の興味を抱き、色でしかクルマを判別できないことも多い。つまりクルマにとってボディーカラーはとてつもなく重要な要素であり、「ボディーカラーがイイネ!」は最大のほめ言葉と言って過言ではない。
今回の試乗車のボディーカラーは、白が「インスパイアード・ホワイト」、グリーンが「ノッティンガムグリーン」。インスパイアード・ホワイトは、クラシックMiniの人気色だったベージュを現代的にオマージュした色。ノッティンガムグリーンは、ポール・スミス氏の故郷へのオマージュカラーとのことだ。
筆者はノッティンガムという街をさっぱり知らないが、とにかくこのグリーンが渋い。苔色とでも言えばいいか。抹茶は世界的に流行しているが、苔もそのうちブームになるかもしれない。世界中から日本の苔を見るためにインバウンドが殺到する日が近い、という予感がするほど、このグリーンはステキだった。
つまり、ポール・スミスというブランドを全く知らなくても、本気で感心してしまうほど、このクルマのボディーカラーはセンスがいいのである。
順序が逆になったが、電気自動車(BEV)になった新型MINIのエクステリアデザインもすごく良い。特にリアの造形が筆者好みだ。
これまでのMINIのリアは「これぞMINI」という感じで、MINIの域を脱していなかった。しかし新型MINIのリアは、MINIではなくランチア? と思ってしまうほど小粋でセンスがいい。「かわいい」というより「オシャレさん」なのだ。
お尻以外はおおむね典型的なMINIの造形を継承しており、顔はウーパールーパー系。だがお尻がこれだけオシャレだと、全部がオシャレに見える。そこにポール・スミスの特別色が塗られると、オシャレの2乗。思わず「うわ、センスいいな~」と唸ってしまう。
あくまで個人の感想だが、従来のMINIのデザインは「シンデレラ城的なファンタジー」に近い印象で、それほど肯定的ではなかった。しかしこのMINIクーパーSEポール・スミスエディションは、超絶クラスのオシャレカーだと認定する。筆者に認定されても無価値だが、とにかく敬意を表したい。
続いてインテリア。目につくのはダッシュボードのストライプだ。シート上部にもストライプがあり、ステアリングには色とりどりのバーコードみたいなストライプも付いている。
実はルーフ外観右側にも、色とりどりのバーコードみたいなストライプが付いていた。たぶんオシャレでやっているのだろうと察していたが、ストライプ柄はポール・スミスの定番のようだ。「ポール・スミス」でGoogle画像検索をかけると、ストライプ柄のシャツがずらっと出てくるほどだ。
ほった「そうですよ。ポール・スミスといえばストライプなんですよ」。オシャレの対極に君臨するほった君にそう言われてしまった。むむむ。インテリアはエクステリアほど大感心はしなかったが、通常のMINIとはちょっと違う感じは十分にある。いいじゃないか。
価格は598万円。通常のMINIクーパーSE(BEV)が541万円なので57万円高い。だがこれだけオシャレなら57万円は高くない。ルーフとドアミラーカバーとアンダーグリルフレームの苔色だけでも、57万円の価値があるかもしれない。
このMINIクーパーSEポール・スミスエディションのボディーカラーは3色。このほかに「青みがかったグレー+苔色」と「黒+苔色」もあるが、そちらは実車を拝見していないので、皆さんにショールーム等で確認していただきたい。
「おい、これが試乗記なのかよ。ぜんぜん走ってないじゃないか!」という声が聞こえてきそうだ。だがこのクルマ、中身はMINIクーパーSE(BEV)そのもので、特に変更点はない。なのでここで切り上げてもいい気もするが、一応試乗した感想を記しておく。
とっても魅力的なBEVだった。筆者は現在のBEVに否定的な意見を持っているが、今は消滅した「ブロッサムピンク」の「日産サクラ」と「フィアット500e」は例外で、非常に良いと思っている。つまり、コンパクトでオシャレなBEVは、短距離の日常使い専用車にぴったり、ということだ。
MINIクーパーSE(BEV)はWLTCモードで446kmの航続距離を持っているので、短距離専用にはもったいない。実用上の航続距離は300km強でロングドライブにも向かない。結局、富裕層が近場のチョイ乗りに使うならとてもステキで、ガソリン車のMINIよりオシャレだと思う。
直接のライバルであるフィアット500eと比較すると、バッテリー容量・航続距離ともに1ランク上。それでいて価格はほぼ同等。白と苔色のMINIクーパーSEポール・スミスエディションは「買い」だと思う。
(文=清水草一/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資/車両協力=BMWジャパン)
ボディーサイズは全長3860×全幅1755×全高1460mm、ホイールベース2525mm、車重1640kg。駆動方式はFWD。モーターは交流同期電動機で、最高出力218PS(160kW)/7000rpm、最大トルク330N・m(33.7kgf・m)/1000-4500rpm。タイヤは前後とも225/40R18 92V XL(グッドイヤー・アシュアランス コンフォートトレッド)。
一充電走行距離は446km(WLTCモード)、交流電力量消費率は128Wh/100km(約7.8km/kWh、WLTCモード)。価格は598万円、テスト車も598万円、オプション装備はなし。
テスト車の年式は2026年型、テスト開始時の走行距離は1016km。テスト形態はロードインプレッション。走行状態は市街地(6)/高速道路(4)/山岳路(0)。テスト距離は141.2km、消費電力量は–kWh、参考電力消費率は8.0km/kWh(車載電費計計測値)。