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ある日突然、思いどおりに体が動かなくなる――ジストニアは、脳の異常な信号が引き起こす難病です。音楽家などに多く、患者や医師の認知度も低いため、適切な診断や治療にたどり着けない例が少なくありません。記者も体験した難病の過酷な実態に迫ります。
症状は多様で、首がねじれる「痙性斜頸」や、まぶたが勝手に閉じる「眼瞼痙攣」、字が書けなくなる「書痙」など、部位によって異なります。特に音楽家やスポーツ選手など、精密な動作を要求される職業で発症しやすく、演奏や競技を続けられなくなるケースが少なくありません。
原因は完全には解明されていませんが、大脳基底核という脳の領域の異常が関与するとされています。遺伝的要因や薬の副作用、外傷などが引き金になることもあり、診断には専門医の経験が不可欠です。しかし、この病気を正しく診断できる医師は限られ、多くの患者が「心因性」と誤診されるなどの苦労を重ねています。
治療法としては、ボツリヌス毒素注射が局所性ジストニアに効果を示すことが知られています。また、リハビリテーションや薬物療法、場合によっては脳深部刺激療法(DBS)が選択されることもあります。しかし、保険適用や医療機関の偏在など、アクセスの壁はなお高いのが実情です。
記者自身も約2年前に書痙を発症し、数カ月にわたり原因不明の症状に悩まされました。正しい診断にたどり着くまでに複数の医療機関を巡り、ようやく専門医の元で適切な治療を受けられるようになりました。この体験から、症状が見えづらいがゆえに患者が孤立しやすいというジストニア特有の難しさを痛感しました。