
トランプ米政権は対イラン制裁の強化を継続している。優先課題であるイラン核問題の交渉に長期化が見込まれる中、イランの主要な歳入源である原油収益を締め付け、交渉圧力を強める狙いがある。イランは対米交渉で制裁緩和や資産凍結の解除を求めているとされ、米国側は制裁緩和を「アメ」として活用できる一方、制裁が骨抜きになるジレンマを抱える。
米国とイスラエルが2月末にイランへの大規模攻撃を開始してから3カ月余りが経過した。米イラン双方は4月上旬に発効した停戦をおおむね維持しているが、小規模な攻撃の応酬が続いている。当面の焦点は、60日間の停戦延長とイラン核問題などの協議継続を柱とする覚書に関する交渉の成否にある。
ただし、覚書は今後の本格交渉の前段階にすぎない。たとえ早期に合意に至ったとしても、トランプ政権が対イラン軍事作戦の最大の目的と位置付ける核兵器開発阻止に向けた合意妥結には、米外交筋によると「数カ月を要する」との見方が強い。
覚書に関する交渉で重要テーマの一つに浮上しているのが、対イラン制裁の緩和問題だ。米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」によると、イラン側は米国が科す制裁の緩和と、制裁の一環として米欧などの金融機関に留め置かれた自国資産の凍結解除を要求している。
こうした中、トランプ政権は制裁強化と緩和の間で難しい舵取りを迫られている。制裁緩和は交渉進展の促進材料となる一方、イランの交渉姿勢を強硬にさせるリスクも伴い、今後のイラン政策の成否を左右する要因となっている。