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レアアースの陰に潜むトリウムという放射性物質。この存在が中国のレアアース戦略を支え、環境問題とエネルギー資源の両面で世界の注目を集めている。中国はどのように環境対策と次世代エネルギー技術で先手を打ったのか、その真相に迫る。
中国は世界のレアアース生産量の約60%を占める最大の供給国だ。レアアース鉱石の採掘・精製過程では、副産物として放射性元素のトリウムが大量に発生する。このトリウムを廃棄物として処理する代わりに、エネルギー資源として活用する道を中国は早くから模索してきた。
2000年代以降、中国はトリウムを燃料とする溶融塩原子炉(MSR)の研究開発に国家プロジェクトとして着手。2020年代には世界初のトリウムMSR実験炉を稼働させるなど、実用化に向けた技術優位を築いている。トリウムはウランよりも資源量が豊富で、核拡散抵抗性が高いとされる。
さらに中国は、トリウム由来の熱エネルギーを利用した発電システムと、電気自動車(EV)への充電インフラを一体化する構想を推進。トリウムMSRで生み出した電力を直接EVに供給する「核‐EV連携」モデルは、送電ロスを減らし、二酸化炭素排出を実質ゼロにする可能性を秘めている。
環境規制の強化とエネルギー安全保障の観点から、中国の「レアアース+トリウム」戦略は今後さらに加速するとみられる。一方で、トリウムの放射性廃棄物処理や国際的な原子力規制との整合性といった課題も残る。この分野で中国が独り勝ちするのか、それとも他国が追い上げるのか、全球的な競争が始まっている。