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再開発ラッシュが続く東京にあって、練馬区と板橋区の境界に位置する小竹向原は、昭和の面影を残す静かな街として異彩を放っている。駅周辺には高層ビルや大型商業施設がなく、なぜこのエリアだけが開発の波から取り残されているのか。その背景には複数の歴史的・構造的要因が絡み合っている。
最大の理由の一つが「駅開設の遅さ」だ。小竹向原駅が開業したのは1976年。他の主要駅に比べて大幅に遅れたため、駅前にまとまった商業用地を確保する機会を逃した。地権者が分散したまま開発が進まず、結果的に再開発の核となるプロジェクトが生まれにくかった。
もう一つの要因は「地下鉄駅しかない」という交通インフラの単一性だ。JRや私鉄の路線が乗り入れず、有楽町線と副都心線のみが停車する。このため、都心からのアクセスは良くても沿線外からの集客力が限られ、商業施設を誘致するインセンティブが働きにくい。
三つ目の理由は、練馬区と板橋区の境界にまたがる微妙な立地にある。行政区域が分かれているため、両区が一体となった開発計画を立案しづらく、区境をまたぐ大規模な再開発には調整コストがかさむ。結果的に、どちらの区も積極的に動きにくい状況が続いている。
そして四つ目が、地元住民の強い保存意識だ。多くの住民が「この街の落ち着いた雰囲気を守りたい」と語り、大規模再開発に反対の声を上げている。小さな商店街や個人商店が支えるコミュニティの結束も厚く、外部資本の参入を拒む空気が再開発のブレーキとなっている。