
警備業法に成年後見制度の利用者は警備員として働けないとする「欠格条項」が存在した。この規定は2019年の法改正で削除されたが、削除前に適用された男性が憲法違反を訴え、最高裁で違憲判決を勝ち取った。男性と弁護団の闘いの軌跡をたどる。
2017年春、名古屋市の弁護士熊田均のもとに、岐阜県内のNPO法人の担当者から連絡があった。NPO法人が成年後見制度に基づいて岐阜県在住の男性の保佐人に選ばれたが、男性が「職を失った」と話しているという。
男性には軽度の知的障害があった。警備員として交通誘導の仕事を約5年間続けた後、別の警備会社に2014年4月に入社し、工事現場や駐車場での交通誘導を行っていた。職場の上司も「特に問題なく、作業をこなせている」と評価していた。
親族との金銭トラブルがあり、男性は財産管理目的で2016年11月に岐阜家裁に保佐開始の審判を申し立て、2017年3月に開始が確定した。男性がこの経緯を会社に説明したところ、失職することになった。当時の警備業法にあった「欠格条項」が根拠だった。
熊田は言う。「解雇になった場合、ふつうは雇用主と交渉できるのですが、このケースはそうではない。法律で『雇えない』となっているから」。男性には「働きたい」という強い意思があった。仕事に誇りと生きがいを持ってやってきたのに、後見制度を利用しただけで一律に職を失うことが許されていいのか――。この最高裁での違憲判決は画期的だった。
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