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記録的な猛暑がヨーロッパ全土を覆う今夏。冷房設備が十分に普及していないイタリアでは、火を使わずに作れる伝統的な料理が毎日の食卓を支えている。暑さの中で健康にも環境にも優しい「切って盛るだけ」のイタリアンレシピを紹介しよう。
イタリア料理には、古くから「クチーナ・フレッダ(冷たい料理)」と呼ばれるジャンルが存在する。冷蔵技術がなかった時代から、乾燥パンや夏野菜、チーズといった常温で保存できる食材を組み合わせ、涼しい料理として発展してきた。猛暑が日常となった現在、その知恵が見直されている。
代表的なのが、トマトとモッツァレラ、バジルを皿に盛るだけの「カプレーゼ」だ。色鮮やかな一皿は、イタリア国旗を思わせる見た目も食欲をそそる。また、硬くなったパンを使う「パンツァネッラ」は、トマトやキュウリ、玉ねぎをオリーブオイルと酢で和えるだけで、冷蔵庫の残り野菜を無駄なく活用できる。生ハムとメロンを合わせる「プロシュート・エ・メローネ」も、火を使わない大人の味わいとして人気だ。
これらのレシピの利点は、調理中に火を使わないため、キッチンの室温が上がらず、エアコンの使用を抑えられる点にある。電力消費の削減は家計への負担を減らし、環境負荷の低減にもつながる。さらに、旬の野菜や果物をたっぷり使うことで、汗で失われがちな水分やビタミンを効率よく補給できるのも見逃せない。
高温多湿の日本の夏にも、このイタリアの知恵は大いに役立つ。火を使いたくない日や、短時間で食卓を整えたい夜に、切り方と盛り付けを工夫するだけで普段の献立が「大人の一皿」へと変わる。特別な技術も道具もいらない「切って盛るだけ」のレシピは、これからの季節の心強い味方になるはずだ。