
米イランの戦闘終結に向けた協議で焦点の一つは、イランが保有する高濃縮ウランの扱いだ。米メディアは、イランが停戦延長やホルムズ海峡開放に加えて「濃縮ウランの放棄」で合意したと報道。これに対しイラン高官は24日、ロイター通信に、核開発問題は最終合意に向けた今後の交渉で協議されるとし、「濃縮ウランの引き渡しには同意していない」と述べた。
濃縮ウランを巡っては今月、最高指導者モジタバ・ハメネイ師が「国外に搬出してはならない」と指示したと伝えられる。イランには、交渉カードを手放したくないとの思惑がある。
核査察を担う国際原子力機関(IAEA)によると、イランは濃縮度60%のウランを約440キロ保有。これは、兵器級の90%まで濃縮を進めた場合、核爆弾約10個分に相当する。
米国は昨年6月にイスラエルとともに実施したイラン攻撃で、同国中部イスファハン、ナタンズ、フォルドゥの核関連施設を空爆。トランプ米大統領は当時、イランの核開発能力を「完全に消滅させた」と主張した。だが、IAEAのグロッシ事務局長は、200キロ超がイスファハンの地下深くにあるトンネルに残るなど、かなりの量が破壊を免れたとの見解を示している。
イランには濃縮活動に必要な遠心分離機も相当数が残っているとみられている。米国としては、濃縮ウランを回収できなければ、いっそう敵意を募らせたイランが核武装に向かう懸念が現実味を増す。
米国は2000年代以降、核兵器開発疑惑が発覚したイランへの経済制裁を主導。15年には欧州や中国、ロシアとともに、イランが核開発を制限する見返りに制裁解除を進める核合意(包括的共同行動計画=JCPOA)を結んだ。だが、第1次トランプ政権が18年に合意から一方的に離脱したのを受け、イランがウラン濃縮を再開した経緯がある。