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5月を過ぎてもまだ本格的な夏を迎えていないこの時期、高齢者の熱中症による救急搬送が静かに増加している。東京都のデータでは、5月の熱中症搬送者のうち約半数が65歳以上の高齢者で、その多くが自宅の室内で倒れていたという。エアコンが設置されていても、使用を控えた結果、室温が危険域に達していたケースが少なくない。
なぜ高齢者はエアコンの使用をためらうのか。第一の理由は節電意識だ。電気代の高騰や「もったいない」という習慣から、気温が上がりきる前の段階ではスイッチを入れない人が多い。また、加齢による体温調節機能の低下で暑さを感じにくくなっており、自身の危険に気づきにくいという特徴もある。
「エアコンはまだ早い」という思い込みに、医師は警鐘を鳴らす。都内の救急医は「高齢者は室温28度を超えると危険信号。涼しいと感じる前にエアコンをつける習慣が重要」と強調する。熱中症は室内でも発生し、一度重症化すると命に関わるからだ。
専門家は「つけっぱなし」と「節電」のリアルなバランスについて解説する。最新のエアコンは消費電力が抑えられており、こまめにオンオフするより連続運転の方が効率的な場合もある。特に夜間は睡眠中の脱水を防ぐため、エアコンを切らずに弱運転を続けることが推奨される。
室内の安全神話は、ときに命取りになる。熱中症対策として最も有効なのは、躊躇せずにエアコンを使用することだ。高齢者自身の判断だけでなく、家族や周囲がこまめに室温や体調を確認し、節電よりも命を優先する意識を社会全体で共有する必要がある。