
タレントとして活動する大島薫さん(36)が、過去に出演したアダルトビデオ(AV)の販売停止を求めた訴訟で、メーカー側との和解が成立したことが分かった。大島さんは、作品の販売継続が人格権を侵害しているとして、ビデオメーカー「ホットエンターテイメント」(東京)に対し損害賠償などを求めていた。東京地裁(渋谷勝海裁判長)で24日付で成立した和解により、長年にわたる争いに終止符が打たれることになった。
和解の内容によれば、メーカー側は当該作品の販売を直ちに停止した上で、市場に流通している在庫の回収を行い、大島さんに対して解決金を支払う。大島さんは26日に記者会見を開き、これらの一連の経緯と和解に至った事実を公に発表した。原告側の主張が認められ、実質的な救済措置が講じられることになった点は、業界の商慣習に一石を投じるものだ。
本件の背景には、平成26年にメーカーから発売された大島さんの出演作品を巡るトラブルがあった。業界の健全化を推進する第三者機関「AV人権倫理機構」は、発売から5年が経過した作品について流通停止を申請できる窓口を設けている。大島さんはこの規定に従って停止を申請したが、メーカー側がこれに応じず販売を継続したことが提訴の直接的な要因となった。
今回の和解について代理人弁護士によると、「出演者が制作側に作品の販売差し止めを請求できるAV出演被害防止・救済法の趣旨に基づく和解内容」という。出演者の人権を守るために制定された救済法の精神が、司法の場において具体的に適用された意義は極めて大きい。個人の人格権を保護するための法的枠組みが、実際に機能した事例として今後も参照されるだろう。
大島さんはこれまでも自身の立場から、AV業界における出演者の権利保護と環境改善を訴え続けてきた。今回の和解は本人の尊厳を取り戻すための大きな一歩であり、メーカー側の社会的責任も問われる結果となった。今後は同様の被害を防ぐための実効性のある仕組み作りが、業界全体に強く求められることになる。