
コンビニエンスストアで提供されるパスタは、高くても700円前後というのがこれまでの常識だった。しかし、ローソンはこの既成概念を打ち破るべく、新たな実証実験を東京都内で進めている。同社は「ローソン北大塚一丁目店」に自動調理ロボットを導入し、出来たての料理を提供することで、従来のコンビニ商品の枠を超えた付加価値の創出を狙っている。
2025年7月に始まったこの試みは、当初はチャーハンや野菜炒めからスタートしたが、12月にはパスタメニュー3種がラインアップに加わった。特筆すべきは、1000円を超える商品も含まれているという点であり、これはコンビニとしては異例の高価格帯と言える。同社の鈴木嘉之氏(インキュベーションカンパニー事業開発部 参事)によれば、同社は「外食並みの品質」を掲げており、競合として見据えているのは同業他社ではなく近隣の飲食店だという。
調理の流れは非常に合理的であり、顧客が店内の端末で注文と決済を済ませると、スタッフが自動調理ロボットを操作する仕組みだ。ロボットには独立して動く鍋とヘラが備わっており、スタッフは画面の指示に従って下処理済みの食材や調味料を投入していく。鍋が回転しながら具材を力強くかき混ぜることで、家庭用コンロや電子レンジでは不可能な「プロの技」を再現している。
実際に調理されたチャーハンは、短時間の加熱によって米粒がパラッとした仕上がりになり、香ばしい焼き目もついている。パスタに関しても、ソースが全体にしっかりと絡み、麺の弾力が際立つ仕上がりとなっており、既存のチルド商品とは一線を画す。オリーブオイルやチーズを仕上げに加える工夫により、香りを最大限に引き出すなど、細部までこだわり抜いた一皿が提供されている。
現在、同店ではチャーハン6種とパスタ7種が展開されており、調理時間はいずれも1分半程度とスピーディーだ。人手不足が深刻化する中で、スタッフの負荷を抑えつつ高品質な食事を提供するこの取り組みは、次世代のコンビニの在り方を予感させる。外食市場を脅かす存在へと進化を遂げるコンビニの挑戦は、今後さらに加速していくことになりそうだ。
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