
東京都江東区の和食居酒屋「食堂101」で、忘年会シーズン真っ最中の昨年12月中旬、深刻な無断キャンセルが発生しました。予約時間の午後7時を過ぎても、26名で予約を入れていた客は一人も現れず、店側は大きな損害を被ることとなりました。店長の平朋宜さん(38)は、昨年7月にオープンしたばかりの店で初めて経験するこの事態に、強いショックを受けたといいます。
店内の30席のうち、ほぼ全てをこの予約客のために確保しており、土鍋つきコースの食材も万全に準備されていました。この一件で、見込んでいた約17万円の売り上げが完全に消失し、経営に大きな打撃を与える結果となりました。飲食業界全体では、こうした無断キャンセルによる損害は年間で2千億円にものぼると推計されており、深刻な社会問題となっています。
店長の平朋宜さん(38)は、「無断キャンセルの被害があっても、泣き寝入りする飲食店は少なくない」と、業界の厳しい現状を語ります。キャンセル料を請求しようと電話をかけても、後ろめたい客は店の番号からの着信に出ないケースが大半だといいます。運良くつながったとしても、支払い要求を拒絶されたり、激しい言葉で罵倒されたりすることさえあるのが現実です。
現場の負担は重く、平さんは「店の営業があるなかで、回収が難しいキャンセル料のために手間をかけられない」と、回収作業の難しさを吐露します。こうした問題の背景には、日本の外食文化が長らく「性善説」によって支えられてきたという特異な事情があります。電話一本で予約ができ、チップがなくても高品質なサービスが受けられるこの環境は、世界的に見ても稀有なものです。
しかし、無断キャンセルは売上の損失に留まらず、丹精込めて用意された食材が廃棄されるという問題も引き起こします。多くの人が守りたいと願う日本の豊かな外食文化ですが、飲食店側の善意にのみ依拠する体制は限界を迎えつつあります。店側が「泣き寝入り」することなく、持続可能な経営を続けられるような新たな仕組み作りが、今まさに求められています。
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