
シンガポールを訪問中のヘグセス米国防長官は30日、アジア安全保障会議で演説した。その中で「中国を含むいかなる国も、自国の覇権を押し付け、米国や同盟国の安全、繁栄を危うくすることはできない」と述べ、インド太平洋地域における中国の覇権を阻止する姿勢を改めて示した。ただし、演説中は台湾について言及せず、その後の質疑応答で台湾に対する米国の立場に変化はないと説明した。
ヘグセス氏は昨年5月にも同じ会議で演説し、その際は「武力で台湾を征服するという、共産中国のいかなる試みも破滅的な結果を招く」と述べていた。今回の演説では中国の覇権阻止姿勢を維持しつつ、台湾問題については中国に配慮したとみられる。
ヘグセス氏は今月中旬に北京で行われたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談に同席した。中国側の発表によれば、習氏は台湾問題で対応を誤れば米中関係全体を「非常に危険な状況に追い込む」と牽制(けんせい)した。
ヘグセス氏は30日の演説で、米中首脳会談について「本当に歴史的だった。公平性と互恵性に基づき、戦略的安定のための建設的関係を築くことで合意した」と述べるとともに、「私の仕事は強力な軍事力を大統領に提供することだ」と説明。インド太平洋地域に戦力を投入する能力を強化する考えを示した。
そのうえで「望ましい勢力均衡には強い軍事力、防衛基盤、政治的決意を有する同盟国が必要だ」と強調。同盟国に防衛負担増を求め、「集団防衛のために責任を果たし、自ら負担することを拒む同盟国には対応を変える」と警告した。
日本に関しては一定の評価を与えた一方、日米同盟強化の取り組みは「ゴールに達しておらず、困難な問題がまだある」と語った。「日本には大いに期待している」とも述べ、防衛費増額を暗に促した。