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建国250年を迎えた米国の歴史は、人種差別克服に向けた前進と揺り戻しの繰り返しでもあった。公民権運動を経て法の下の平等は進展したが、黒人の政治的権利を弱める動きが今も続いている。米国の宿痾とも言える人種問題を巡る振り子は、依然として揺れ動いている。
「われわれは以下の真理を自明のものとみなす。すべての人間は平等につくられ、生存と自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を創造主によって与えられている」—独立宣言に記されたこの理念は、黒人や先住民には適用されず、奴隷制は残された。宣言の起草者で第3代大統領となるトマス・ジェファソンは、約200人の奴隷を所有し続けたことで知られる。
1861年、奴隷制維持を主張する南部諸州が連邦を離脱し南北戦争が勃発。約4年の激戦の末、「奴隷制禁止」(憲法修正13条)、「市民権と法の下の平等」(14条)、「選挙権の保障」(15条)が定められた。
ところが南部ではその後も、黒人を差別する法律が次々と制定された。こうした体系的差別の撤廃を訴え、1950年代以降に大きなうねりとなったのが、公民権運動だ。代表的指導者のマーチン・ルーサー・キング牧師が63年に行った「アイ・ハブ・ア・ドリーム(私には夢がある)」演説は有名だ。
64年には選挙や雇用、教育などでの差別排除を目指す「公民権法」が、翌65年に投票時の差別を禁じた「投票権法」が成立した。これら連邦法の制定により、法的な平等は大きく前進した。
しかし近年、投票権法の一部条項が無効化されるなど、黒人の政治参加を制限する動きが全米各地で広がっている。建国の理念と現実の乖離は、米国社会の根深い課題として今なお存在し続けている。