
花王はサステナビリティ経営を中核に据える一方、筆頭株主のオアシスからサプライチェーンにおける環境・人権リスクを厳しく指摘されている。この問題に対し、花王でESGを統括する大谷純子執行役員が東洋経済のインタビューで反論した。同氏は「当社のサプライチェーンは多層的であり、指摘された特定の調達先との直接の取引は確認できませんでした」と明言している。
オアシスは花王に対し、パーム油や紙パルプなどの主要原料について、違法伐採や児童労働などのリスクを排除した完全なサプライチェーン可視化を要求している。しかし大谷執行役員は「現実の原料調達は多数の仲介業者や小規模農家を経由しており、すべての取引先を統一的に監査するのは構造的に困難です」と述べ、実務上の課題を強調した。
花王は独自の「花王サステナブル調達基準」を2019年に制定し、取引先に環境・人権に関する同意を求めている。大谷氏は「私たちはリスクの高い地域から直接調達しない方針を徹底しており、第三者認証を受けた原料の比率も年々向上している」と主張。同時に、完全追跡が不可能な場合でも、地域ごとのリスク評価と是正措置で対応していると説明した。
特に小規模農園への支援策については「単なる監査だけでは持続可能な改善は望めない」と大谷氏は語る。花王は現地NGOと連携し、農家への有機栽培技術指導や、フェアトレード認証取得支援を実施している。しかし「こうしたプログラムは長期的な投資が必要で、オアシスが求める短期間でのシステム変更は現実的ではない」と付け加えた。
花王は今後も対話を継続する姿勢を示すものの、サプライチェーンの複雑性を無視した要求には応じられない立場を明確にした。大谷執行役員は「私たちは透明性を高める努力を続けるが、現実的なアプローチと時間軸が必要だ」と締めくくり、投資家との建設的な議論を呼びかけている。
No Comments