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兵庫県が4年後の令和12年度にも、財政破綻の一歩手前となる「早期健全化団体」に転落する可能性が出てきた。平成7年の阪神大震災からの復興事業や金利上昇が要因とはいえ、新たに発覚した地方財政法に抵触しかねない不適切な会計処理も拍車をかけた。県は財政再建に向けた素案を示すが、急激な投資削減は「インフラ維持に支障が出る」との意見もあり、難しいかじ取りが求められる。
都道府県が早期健全化団体になったケースはこれまでにない。兵庫県では、収入に対する借金返済額の割合を示す実質公債費比率が令和7年度決算までの3年平均で18%を超え、8月には県債発行に国の許可が必要となる起債許可団体に転落することが確実となっている。不適切な会計処理はこれを見据えて財政状況を点検していた今年6月下旬に発覚した。
問題となっているのは、過去に公共事業の用地取得のために発行した地方債の扱い。公共事業の用地取得のため490億円の地方債を発行(借金)したが、取得用地を売却した際の収入338億円を県債の償還(返済)に充てず、2年度に全額を借り換えた。県債管理基金を温存し、実質公債費比率を低く見せかける効果があった。
総務省に確認したところ、違法な起債の可能性があると指摘を受けたという。県は当時の担当者に聞き取りしたが、担当者に違法性の認識はなく、理由は不明としている。
一方で斎藤元彦知事は15日の定例記者会見で、「当時の(井戸敏三)知事から全額借り換えと県債管理基金の残高確保の指示があり、それに基づいて実施したと報告を受けている」と説明。外部の専門家による検証を行う考えを示した。
今回の問題を受け、基金残高を減らした上で財政見通しを見直すと、実質公債費比率は最大0.8%悪化し、対策を講じなければ12年度にも、早期健全化団体の基準となる25%(3年平均)を超える可能性がある。
県は、投資規模を最低10%抑制し、当面は実質公債費比率が25%を超えないように管理する方向で検討を進め、さらに来年度には歳入歳出全般の見直しに着手する方針。斎藤氏は「(実質公債費比率が)25%を超えてしまっては事業ができなくなる。(公共投資の)一定の抑制が必要だ」と指摘する。
一方、有識者らによる県の財政運営検討会では「インフラ投資の急激な削減は機能喪失を招く」として民間資金活用の提言があったほか、県議会常任委員会でも「インフラ整備(への投資)は将来世代に対して必要という認識も持ってもらいたい」との声が上がった。
県は今後、「公債費負担適正化計画」をまとめ、8月に国に提出する方針としている。
兵庫県の財政が厳しい背景には、平成7年の阪神大震災がある。23年の東日本大震災では地方負担が実質ゼロになる震災復興特別交付税など国費による手厚い措置が講じられたが、阪神大震災当時はそうした特別措置がなく、震災から31年が経過した現在も重くのしかかる。
国や県の資料によると、阪神大震災による県内の被害総額は約10兆円で、復興事業費の総額は約16兆3000億円になった。国が約8兆円を負担したものの、残りは県や各市などで負担した。県の負担は約2兆3000億円で、道路復旧など震災関連で発行した県債(借金)の総額は約1兆3000億円に上る。そのため県では返済のため、毎年数百億~千数百億円の公債費を計上してきた。
震災から10年となる17年度までに急ピッチで返済を進めた結果、18年度以降の公債費は一気に下がったが、震災30年後の令和6年度決算でも震災関連の県債が1478億円残っている。それらの要因もあり、県の財政運営検討会でも、類似自治体に比べて突出して高い公債費を減少させることが課題として示されてきた経緯がある。