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人工呼吸器の使用やたんの吸引など、医療的サポートが日常的に必要な医療的ケア児を抱える母親たちの就労を後押しする人材支援企業ツナグッド(さいたま市中央区)。代表の不破千也子さん(55)は、医療的ケア児の家庭と採用に悩む県内中小企業を結びつけ、埼玉から良い循環をつくりたいと語る。
「医療的ケア児だった娘が亡くなるまでの16年間、在宅でケアをし、目の前のコンビニエンスストアすら自由に行けない育児の現実に直面しました。かつては、医療的ケア児の育児情報がほとんどなく、『言葉の力で福祉を変えたい』と一念発起し、ライタースクールやコピーライター養成講座に通学し、フリーライターとして活動を始めたのが創業の原点です」
「ビジネスコンテスト『SAITAMA Smile Womenピッチ2024』の受賞プランをもとに、『SCAP(さいたま市アクセラレータープログラム)』採択事業として医療的ケア児の母親らのスキル習得をサポートする場『スモビズ』を始動しました。この場で、初年度は医療的ケア児の母親4人と身体障害のある方に、SNS運用代行を見据えてプレゼン資料などの作成ツール『Canva』の操作やライティング、AI活用を指導しました。好評だった一方、短期間で仕事につなげる難しさも痛感しました。時給で働くのか、業務委託で請け負うのか。生活スタイルと働き方を整理する必要性も見えてきました」
「娘を16年間在宅で介護し、2016年に見送りました。転勤族の夫と結婚し、30年で7回転居したことで、医療的ケア児に関わる制度が自治体によって大きく違うことを実感しました。医療的ケア児は全国約2万人いるとされますが、預け先や付き添いの課題から、母親のキャリアだけが中断される現実があります。パソコン1台で働ける時代だからこそ、在宅しか選択肢のない家族にも、働く選択肢を広げたいと考えています」
「『スモビズ』に加え、就労する前に母親自身が必要な時間やケア体制、働き方を整理する場『ケアママワークス』の両軸で運営していきます。医療的ケア児の母親が、自分に合う働き方を考える土台作りに取り組みます。在宅で医療的ケア児を育てるご家族への支援を軸にしながら、将来的には障害のある方ご本人の働き方支援にもつなげたいと考えています。今年度は県内中小企業に向けて、採用につながる業務の整理・発信サポートを試行します。オンライン秘書として担える仕事を切り出し、多様な人材が関われる働き方を広げます」
「医療的ケア児や障害児を育てることで、女性のキャリアが閉ざされる時代を変えたいです。一方で、障害児支援や障害者支援に比べ、家族の働き方を支える仕組みはまだ十分ではありません。医療的ケア児の家庭と採用に悩む県内中小企業をつなぎ、屋号『ツナグッド』の通り、埼玉から良い循環を作ります」(聞き手 那須慎一)
所在地はさいたま市中央区上落合2の3の2、新都心ビジネス交流プラザ3F(COCOオフィス)。主な事業内容は取材・執筆、コピーライティング、SNS発信支援(プロフィル作成・運用代行・企画運営)、障害児・医療的ケア児家族向け支援。理念は「誰もが『自分らしく生きる』を、あきらめない社会をつくる。」で、主な受賞歴は「SAITAMA Smile Womenピッチ2024」審査員特別賞。