
通い慣れた街のエスニック料理店が、あちこちから姿を消そうとしている。出入国在留管理庁が昨秋、外国人経営者向けの在留資格「経営・管理」の要件を大幅に厳格化したことで、各地の飲食店主に動揺が広がっている。将来への不安から事業継続を断念し、惜しまれつつ店をたたむ決断を下すケースも出始めた。
東京都練馬区の商店街で親しまれてきた香港がゆ店「3米3(サンマイサン)練馬店」も、その一つだ。具だくさんのおかゆや点心が評判を呼び、地域住民に愛される人気店だったが、5月20日の営業を最後に閉店することが決まった。店を経営する香港出身のチャン・カーイーさん(47)は、苦渋の決断を振り返り肩を落とす。
チャンさんは「お店は簡単に諦めたくなかったが、仕方なかった」と、その胸の内を語った。背景にあるのは、昨年10月に実施された制度変更だ。ペーパーカンパニーによる不正取得を防ぐ名目で、日本語能力が新たに求められるようになったほか、必要な資本金額が500万円から6倍の3千万円へと跳ね上がった。この極端に高い壁が、小規模ながら真面目に営んできた店主たちの首を絞めている。
こうした外国人を一律に締め付けるような発想は、結果として日本社会が培ってきた多様な食文化や活力を損なうことになりかねない。不正対策は必要だが、現在の厳格化は「まじめな外国人経営者が割を食う」という識者の懸念を現実のものにしている。商売を続けることが困難になった現状に対し、現場からは「愚かだとしか言いようがない」と、政策の不備を指摘する厳しい声も上がる。
新たな在留資格の要件により、外国人が日本で商売を営むハードルはかつてないほど高まっている。浅草の韓国料理店など、同様の理由で苦境に立たされる店は後を絶たず、現在の入管政策のあり方が厳しく問われている。日本社会の豊かさを守るためにも、実態に即さない過酷な要件は直ちに再考されるべき時期に来ているのではないか。
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