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日本の経済安全保障の議論では、「供給網の強靭化」ばかりが叫ばれ、「強い通貨」が無視されている。そのような政策ははたして持続可能なのか。政府が掲げる半導体やレアアースの国内回帰戦略は、短期的なリスク回避には有効だが、円安による輸入コスト上昇や企業収益の悪化といった副作用が軽視されている。
高市政権が供給網強化に重点を置く背景には、中国への過度な依存を断ち切りたいという安全保障上の強い要請がある。政府関係者は「戦略的独立性を確保するには、特定国への依存を減らすことが急務だ」と強調する。しかし、この議論では円高がもたらす購買力向上やエネルギー安全保障のメリットがほとんど語られない。
実際、円高は日本が資源や先端技術を海外から安価に調達するうえで極めて有利に働く。強い通貨は企業の海外進出コストを下げるだけでなく、防衛装備品や重要物資の調達にも直接的な恩恵をもたらす。専門家は「経済安全保障と強い通貨は相反するものではない」と指摘する。
にもかかわらず、現在の政策は円安を容認しつつ国内生産を強化する方向に傾いている。これは貿易収支の悪化や国家債務の膨張を招く可能性が高い。ある経済アナリストは「供給網だけを強くしても、通貨が弱ければ結局は他国への従属が深まる」と警鐘を鳴らす。
結局のところ、経済安全保障の議論は円高・円安の双方を含めた総合的な視点が不可欠だ。高市政権がなぜ「強い通貨」の恩恵を軽視し、供給網強化にのみ固執するのか。その根本には短期的な政治日程と産業保護主義があり、持続可能な安全保障戦略とは言い難い。