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6月中旬、薄明の函館沖でバイヤーの仕事が始まる。くら寿司の鮮魚バイヤーである大濱喬王氏は、7月にくら寿司で提供予定の「函館サーモン」の様子を入念に確認していた。港で飼料のチェックを終えると、沖にある生け簀へ船で移動。生け簀では、泳いでいる魚の状態や餌の食いつきなどを入念に確認していた。
彼が視察に訪れていたのは、くら寿司が注力する「新幹鮮魚」プロジェクトの段取りを確認するためだ。新幹鮮魚とは、地方の漁港で当日の朝に締められ加工された鮮魚を、新幹線で東京など首都圏へ輸送。当日の午後には店舗で提供するという業界初の取り組みだ。
2025年に福井県から東京への輸送ルートで始まり、くら寿司の上位ブランドの「無添蔵」の店舗やくら寿司の一部店舗で提供されている。今回は函館から北海道・東北新幹線で輸送し、7月に新たに開店した無添蔵新宿店などの店舗で提供を始めている。
その目玉となるのが、先述のサーモンだ。通常回転ずしチェーンで提供されるサーモンは、水揚げ後、加工・冷凍されたものがほとんどだ。水揚げから期間を置くことで、身はやわらかな食感となる。
一方で、魚を締めた直後、死後硬直が始まる前の状態を「いかりみ」という。コリコリとした引き締まった食感が特徴だが、「サーモンでいかりみを味わおうと思っても、基本的には現地に行かないと食べられない」と大濱氏は言う。
この「いかりみ」の状態を都市部で提供するためには、当日の朝に魚を締めて加工し、都内へ輸送する必要がある。